久保 亮治 | Akiharu Kubo
神戸大学大学院医学研究科 教授
Professor, Department of Internal Related Kobe University Graduate School of Medicine
多細胞生物の構成細胞は、加齢とともに様々な遺伝子変異を蓄積する。変異細胞を排除し生命組織の恒常性を自律的に維持するメカニズムとして細胞競合現象が知られている。近年、細胞競合には様々な異なる分子機構が存在すること、時には変異細胞が細胞競合のメカニズムを利用して正常細胞を排除し、変異細胞コロニーを拡大する場合があることが分かってきた。しかしヒト疾患の病態形成における細胞競合の寄与はほとんど未解明である。申請者は変異細胞の分布が皮膚の模様となって現れる皮膚モザイク疾患の診療と病態解析を通じ、細胞競合が病態形成に関与するヒト疾患として、汗孔角化症に加えて新規のモザイク疾患と新規原因遺伝子を同定し、「細胞競合モザイク疾患」と呼ぶべき疾患群の存在を見出した。本研究では、申請者が見出した「細胞競合モザイク疾患」を解析対象とし、ヒト組織における細胞競合現象の解析とヒト疾患の病態形成における細胞競合の役割解明とをおこない、ヒト「細胞競合モザイク疾患」の疾患概念を確立する。
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