西川 星也 | Seiya Nishikawa
東京大学総合文化研究科 学振特別研究員(PD)
JSPS Research Fellow (PD), Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo
多細胞生物の上皮組織において、組織中で細胞死や細胞分裂、細胞運動等のイベントが1細胞レベルで起きた時、組織内で局所的に力が生成される。局所的に発生した力は組織を伝播し、組織全体に影響を及ぼすため、上記のイベントが近いタイミングで発生した際には、組織全体で影響の重ね合わせを考える必要がある。異なる細胞集団間で競合的コミュニケーションが発生する現象 (細胞競合) の存在下では、細胞死や細胞変形などのイベントが能動的に引き起こされる。したがって、組織全体には異種細胞間の境界で生成された力の重ね合わせが作用しているが、この性質については明らかになっていない。そこで、本研究では、境界における競合的コミュニケーションが駆動する組織全体の力学的性質を解析可能な数理モデルの構築を行う。この数理モデルにより、細胞競合において普遍的に存在する組織全体の力学的性質を明らかにする。