平島 剛志 (班友) | Tsuyoshi Hirashima
シンガポール国立大学メカノバイオロジー研究所 主任研究員, シンガポール国立大学医学部生理学科 助教授 (兼任)
Principal investigator, Mechanobiology Institute, National University of Singapore; Research assistant professor, Department of Physiology, School of Medicine, National University of Singapore
機械的な力は細胞競合を制御する重要な物理的要因であり、細胞の力を起点とした細胞競合はメカニカルコンペティションと呼ばれ、近年盛んに研究が進められている。我々はこれまでに、上皮細胞が生み出す機械的な力とシグナル分子の活性を同時にライブイメージング測定する技術を開発してきた。これにより、細胞間の引張力とメカニカルコンペティションに関与するシグナル活性とをつなぐフィードバック制御を見出し、実験に基づく数理モデルの構築・解析を行いうことで、細胞集団の力学−生化学連成機構を明らかにした。本研究では、上皮組織の形状依存的に細胞競合が制御されることに着目し、力−生化学シグナル同時測定技術の高度化と数理モデリングの融合を通して、細胞競合における「形-力-シグナル分子」の連関を定量的に明らかにする。さらに、領域内連携により得られたデータを組み入れた数理モデル解析を行い、細胞競合が導く多細胞自律性生成の原理を数理・物理的観点から理解することを目指す(図1)。