西村 栄美 | Emi Nishimura
東京大学医科学研究所 教授
Professor, The Institute of Medical Science, The University of Tokyo
上皮系幹細胞システムは、外界からのストレスや損傷に晒されながら個体を外界と隔て生命を維持している。我々は、哺乳類の成体表皮において個々の幹細胞同士が細胞競合を起こしてその恒常性を維持することを見出した。様々な損傷やストレスに抗して幹細胞集団が自らを最適化し続ける自律性の原理は、生命を理解する上で根源的な課題でありながら未だ未解明である。そこで本課題では、様々なストレス下における正常細胞と変異細胞において基底膜分子の17型コラーゲン(COL17A1)の発現の違いに注目し、マウス表皮幹細胞のシングルセルRNA-seq、多色クローン追跡、系譜解析イメージング、3次元培養表皮、オルガノイド、空間オミクスを組み合わせ、個々の上皮幹細胞がその違いに基づく競合的コミュニケーションを介して自律的に最適化してく仕組みを解明する。計画班の内外との連携を通じて、細胞競合を介して上皮幹細胞システムが自律的に最適化される原理の解明を目指す(図1)。